ハイデルベルク滞在記

ドイツのハイデルベルクで半年間生活することになりました。生活の記録です。

79日目 -今日の会話-

今日は仕事の後、三週間ぶりのドイツ語教室に行った。

ドイツ語教室では新しいチャプターが始まり、先生もこれまでの可愛くておしゃれな先生ではなく、おばあちゃん先生に変わっていた。

 

このおばあちゃん先生、なかなかキャラが濃く、授業中生徒である私達はクスクス笑い合っていた。

今日は家族についての単語と例文を学んだ。授業は基本ドイツ語なのだけど、おばあちゃん先生に主張したいことがある時だけ英語になる。

それは確か、「夫」とか「妻」とか「夫婦」という単語に差し掛かった時のこと。

アメリカ人の女の子が「パートナーという表現は使いますか?」と質問した。そうするとおばあちゃん先生は顔をしかめて

「それはホモセクシャルレズビアンが使うような表現があるかっていうこと?」と質問し返した。この時点で私を含めた他の生徒達は衝撃を受けていた。

アメリカ人の女の子は「そういう場合でもパートナーという単語は用いられますし、セクシャルマイノリティ以外もパートナーという単語を使う場合もありますよ」と答えた。

それから何かの会話があって、おばあちゃん先生は「ドイツでは今、ホモセクシャルレズビアントランスジェンダーのために、ジェンダーニュートラル(性別を問わない)トイレの建設の条例ができたの。彼らのためにこんなことになって、狂ってるわ。大体、夫と妻以外の選択肢がある事自体が間違いなのよ。・・・・」

とマシンガントーク炸裂。私達生徒はみな「この人自分が何を言ってるのかわかってるのか」とお互い顔を見合わせて、彼女の止まらない演説を聞きながらクスクス笑いあった。

さらに、子供という単語に差し掛かった時、おばあちゃん先生は

「ドイツでは一般的に、お父さん、お母さん、男と女が一人ずつ、またはどちらか二人が一般的な『家族』です。ドイツには、子供が増えれば増えるほどお金が貰えるというバカみたいな制度があって、そのせいで、子供が4人も5人もいるイスラム教徒にお金が流れるわけです」とここでもヒートアップ。

授業後私達は「あの人やばかったね・・・」という話で持ちきりに。

私は幸運な事に、ここまであからさまに自分以外の特定の人々に対する嫌悪感をむき出しにする人にそこまで出会ったことがないので、このおばあちゃん先生は衝撃だった。と同時に、まあこういう人はある程度存在しているんだろうなあと思った。さらに、このおばあちゃん先生が「ヤバい」と共感できたクラスメイト(大体私と同世代)がいることに安堵した。

それと共に、このおばあちゃん先生が金髪で青い目をしていたことから「だからかなあ」なんて少し思ってしまう自分もいる。私はカナダのフランス系カナダ人が多い地域に暮らしていた時に、いきなりリンゴを投げつけられたり、散々chintok(中国人の差別的言い方)だの言われたりした。それでそういうことを言ってくる人たちに何だか金髪青い目の人が多かった気がして、彼らに対して苦手意識を持ってしまったことがあった。

もちろんこの意識は、それ以外の何十倍もの素晴らしい金髪青い目の人々が薄れさせてくれて、今ではもう全然消えかけているけど、ふとした時に蘇ってくる。

ドイツ語教室のおばあちゃん先生がセクシャルマイノリティイスラム教徒を差別するのと同じように、私のこの感覚だって差別的なので、こういうことがあると自分の感覚も含めて嫌な気分になる。

 

あと、今日面白かったイタリア人同僚の話。

同僚に「日本に帰る前に、絶対にイタリアに行かなきゃダメだよ」と言われたので「そういえば11月に母親が来るかもしれないので、その時にでも行こうかな」と伝えた。

「彼女はシシリー島とかナポリに行きたいらしいよ」と伝えると、「本当に。すごく気をつけないとダメだよ」と言って、彼の親戚の話を教えてくれた。

彼のおじいちゃんがシシリー島に行った時のこと。シシリー島にカメラを持って行って、盗まれないように何重にも包んで、かばんの奥底に閉まっていたらしい。旅行を終えて、カメラ盗まれなかった、よかった、と安心して包を解くと、中には石が包んであったらしい。

また、彼のおじさんがナポリに行った時のこと。おじさんは、レストラン前に車を停めて食事していたらしい。ふと車の中の物を取りに戻って、おじさんが助手席の物入れをがさごそしていると、突然車が大きく揺れだした。驚いて後ろを見ると、泥棒がおじさんの車の補助タイヤを外しているところだった。おじさんと目が合うと泥棒は、「大丈夫、ラジオは君にあげるから。僕はタイヤだけでいいから」と言い放ったらしい。

ここでみんな爆笑。私も笑ったのだけど、書き出すとあんまりおもしろくない。。。

 

ということで今日は笑ったり驚いたり色々考えたり、そこそこ楽しい一日でした。