ハイデルベルク滞在記

ドイツのハイデルベルクで半年間生活することになりました。生活の記録です。

49日目 -座席を譲るかどうか-

今日は仕事の後、ドイツ語学校に行った。

入校して3週間目だが、授業を受けたのは二度目。仕事をしていると、予想外のこともあり、毎回出席するのはなかなか難しい。

今日は女性、男性、中性名詞などをやった。先生は授業中基本ドイツ語だけど、もらったプリントを眺めたり、わかるフレーズを拾っていくと、なんとなくわかってくる。全然わからない、という顔をすると、英語で言ってくれる。でも、みんながあまりに英語での説明を求めるので「私は英語を授業中喋っちゃいけないことになっているの。みんなもっと語彙を増やして。わかった?」と言っていた。

クラスでは、ルーマニアの女の子と仲良くなった。高校で日本語を習っていたから、いつか日本に来たいらしい。いつでもおいで、と言っておいた。

 

さて表題の件なのだけど、公共の乗り物での座席マナーで、ドイツにしばらく滞在して感じたことを。

ドイツではどうも、老人や子供、子連れの人々に『座ってください』と席を譲る機会を目にすることが少ないように感じる。私が以前住んでいたカナダと比較して。

もちろん地域的なこと、その場に居合わせた人の人種等々もあると思う。私がたまたま目にしていないことだって考えられる。ただ、何回か、そこ譲らないんだ、と驚いたことがあったのだ。

 

まず、松葉杖を付いている人、腕にギプスをはめている人がいても、誰も席を譲らない。小さな子どもを抱えたお父さんにも、席を譲らない。白髪の老人にも、誰も席を譲らない。極めつけは、目の前にやっと立てるくらいの子供がお母さんと立っているのにも関わらず、空いている席を自分の荷物で占領する(これはトルコ系の人だったけれど)。

日本でも、席譲ればいいのになあと思うことは多々ある。ただ、私が暮らしていたカナダでは、老人や子連れが車内に乗ってこようものなら、同時に数人が席を立つ。席を譲らないと、遠くの方から大声で「そこ!譲るべきだ!」とヤジが飛んでくることもある。その状況に慣れてしまっていた私としては、ドイツであまりにも人々が席を譲らないので驚いた。

今日もちょうど、人の多く乗ったバスで小さな子どもを連れたお母さんが通路に立っていた。反射的に私が立って席を譲ったのだけど、すぐそばには、空いている席に自分の荷物を置いた女の人。そうすると近くのおじさんが、その女の人に荷物をどけるように言って、私を座らせてくれた。荷物を置いていた女の人も、快くどけてくれた。

日本と違うなあと感じたのは、座りたい人は、直接優先席に行って、そこに座っている人をどかせることがあること。杖をついたおばあさんが乗ってきた時、優先席には若い男の子が。おばあさんは杖で男の子の足を払って、男の子にどくように指示。男の子も、普通にどく。

ドイツはまだよくわからないけど、座りたい人は自分で直接頼むってスタイルなのだろうか。うーん、そこら辺、カナダの方が親切に感じる。

 

ドイツ人の国民性がまだはっきり理解しきれていないのだけど、また他に感じたことを少し。

先日、ドイツで子育てをしている日本人の方とお話をする機会があった。

ドイツ人は、他人の子供でも躊躇なく叱ってくるらしい。しかも、レストランで少し騒いだだけでも、あからさまに嫌な顔をしてくるそう。「他人の子供でもよくそんな嫌な顔ができるな、って顔をする」という言葉が印象的だった。

職場でも、イスラエル人の同僚が「ドイツ人はものすごく顔に出す」と言っていた。ドイツ人の同僚と働いている時も「イエス」と「ノー」がはっきりしていると感じる。仕事の日程を調整している時「ちょっと早いけど頑張れば来られるから、まあ大丈夫だよ」みたいなことは存在しない。「ちょっと早いので無理。もう少し遅くして欲しい」とはっきり言ってくる。

もちろん、時と場合によるだろうし、人にもよるだろうと思う。ただ共通してよく聞くのは、ドイツ人はとにかく意思表示がはっきりしている、ということ。

自分のしたいこともはっきりと言う。カナダ人よりも、そこははっきりしていると思う。

座席を譲ることに関しても、座りたい本人が直接言ってくるもの、という感覚なのかもしれない。実際、荷物をどけろとか、座っていたところをどかされた人たちは、全く嫌そうな顔をしない。

 慣れたら自分から頼むほうが気楽かもしれないな、とも思う。

 

あたりまえだけど、カナダとは全然違うということに、いまさらながら驚いている。